「なんであの人はアドバイスを聞き入れないんだろう!?」
せっかく親切にアドバイスをしているのに、まったく聞き入れてもらえなかったり、反発すら受けてしまうようなことってありませんか?
NLPプロフェッショナルコーチ認定プログラムの中で面白い体験をしました。
参考 コーチング | NLPプロコーチ認定コース | 米国NLP&コーチング研究所公認NLP-JAPAN ラーニング・センター
アドバイスをすることと、ただ聴くこと。
この違いについて比較をするワークがプログラム内にあります。
(2020年第13期プログラム)
今回は、そこで体験したことをシェアします。
アドバイスに潜むリスク
アドバイスをすることと、ただ聴くことの違いは説明するまでもないと思いますが、一応今回のお話においての定義をしておきます。
- アドバイス:相手の問題を自分の知識で解決してあげようとする行為
- ただ聴く:ただ「うんうん、それで?」と相槌を打って聴くだけ
アドバイスは「こうしたらいいじゃん」とか、「こうすると上手く行くよ」とか、「自分の時はこうだったよ」みたいに、自分の経験や知識から相手の問題をなんとか解決してあげようとする行為です。
書籍『7つの習慣』では自叙伝的反応と呼ばれるものです。
一見、相手のことを想って一生懸命智慧をひねり出してあげているようですが、その実、相手の状況を理解せず的外れなアドバイスになることもあります。
もちろん、ドンピシャで「そんなこと気が付かなかった!」というクリティカルなアドバイスができることもあります。
その時は、本当に相手のためになるアドバイスができているのも確かですが、深い信頼関係やカリスマ性、確かな知見と経験などが必要になることが多いでしょう。
また、アドバイスをすると責任が伴うことになります。
自分は提案をしただけで、決めたのはあの人と思うかもしれません。
しかし、相手は「あの人のアドバイスに従った」なのです。
上手く行ったときも、行かなかったときも。
アメリカでは訴訟になることもあるそうなので、気軽な提案でも立場や状況によっては気を付ける必要があります。
一方で、ただ聴くことは、本当にただ聴くだけです。
アドバイスも、解釈もしませんし、今回のワークでは質問すらNGでした。
ただ、相手の話に合わせて「うんうん、それで?」と相槌を打つだけ。
唯一してよいコメントは、
そこのところをもう少し詳しく教えて
だけです。
相手のなすがまま、話すままに、ただ寄り添って聴くだけでした。
自分の解釈もいれず、意見も言わずなので、アドバイスとは違って責任も生じません。
実際のコーチングでは、気づきを与えるようなパワフル・クエスチョンやバックトラッキング(相手の言葉を繰り返す)を行うのですが、今回のワークではただただ聴くことに徹するだけでした。
受け入れられないアドバイス
私がコーチ役となり、アドバイスをすることと、ただ聴くだけを同じ課題に対して実際にやってみました。
相手の課題は「前にできていたことが、今はできなくなった」という内容でしたが、面白い結果になりました。
アドバイスをするケースでは、相手の話を聞きながら「こうすれば良いよ」というアドバイスをたくさんしました。
しかし、その度に相手の反応は「でも、、」と何かしら理由を付けて、それはできないと言ってきます。
「じゃあ、こうしたら?」とか、でも「こうするとできるでしょ?」と、手を変え品を変えアドバイスし続けました。
そして最後に「こうしよう!」と結論まで出しましたが、相手の反応はイマイチ。
結局受け入れられることなく終わりました。
そして次に、ただ聴くだけを実施。
「ふむふむ」と相手の話を聴いていたところ、前にできていた頃の話をし始めたのですが、なんと先ほど「こうすればできるじゃん」とアドバイスした内容とほぼ同じ!
「なんだ、やってたんじゃん」というツッコミを飲み込みながら更に聴いていると、最後に相手がたどり着いた結論もほぼ同じ。。
(自分はなかなかナイスなアドバイスをしていたんじゃないかと思いました)
結局受け止められるのは自分自身の言葉
しかし、相手の受け止め方は全く違っていました。
アドバイスをしていたときは、全然自分のことをわかってくれていないと感じ、出てくる案すべてが「ムカつく」対象だったようです。
「うるさい、わかっているけどできないんだよ!」と。
(「そんなの簡単さ」というテンションで応対したせいもあるでしょうけど)
そして、ただ聴くだけのときは、さっき言われたことと同じことを言っている自分を認識しながらも、止まらず話をしていたと。
そして、単純ではありますが、「前にできていたんだから、これからもできるよね」と、「その環境を整えるために同じ結論を選ぶと思う」と納得していました。
同じ提案、同じ結論に至るにしても、他人から言われたのと、自分から言ったのでは、こんなにも受け止め方が違うのだなと思ったワークでした。
「ただ聴くこと」で相手の潜在的可能性を引き出す
もちろん、話の内容や状況によっては、他人からのアドバイスで背中を押されることも多々あります。
ただ、今回のワークの基になったコーチングの原則の中に
- 答えはクライアントの中にある
- コーチ以上に良い解決方法を思いつくのはクライアント
- クライアントは解決するために必要な能力と資源をすでに持っている
というのがあります。
同じ結果を導いたとしても、そこからそれを実行しようとするモチベーションには大きな違いがうまれてくることでしょう。
クライアントはすでに無限の潜在的可能性を秘めていることを胸に、「ただ聴く」ことを大切なスキルとして持っておきたいと思います。
Today’s Quote !!
私たちは多くの場合、外部の助言がなくとも自分をコントロールできる。心を開くチャンスさえ与えられれば、あとは自分の力で自分の問題を解きほぐしていける。すると解決策がその過程ではっきり見えてくるものである。
『7つの習慣』p.365-l.7