忙しい毎日の中でも、時間を自分のコントロール下に置き、時間に追われることからも解放され、やりたいことに時間を使えるようになる第II領域に生きる手帳術。
前回は人生の中で重要になる「役割」について見てきました。
今回は本連載の重要ポイント「第II領域」を含む、時間管理のマトリックスについて見ていきます。
あなたの日々のタスクがどの領域に当てはまり、それをどう扱えば効果的な時間の使い方になるのか学んでいきましょう。
優先すべきは自分の価値観や役割にとって重要なこと
時間管理のマトリックスは以下のように4つの領域に分けられています。
- 第I領域:緊急で重要なこと
- 第II領域:緊急でないけど重要なこと
- 第III領域:緊急だけど重要でないこと
- 第IV領域:緊急でなく重要でもないこと
「緊急」と「重要」の定義は『7つの習慣』に以下のように書かれてあります。
- 緊急:今すぐに取りかからなければならない活動(p.199-l.8)
- 重要:あなたのミッション、価値観、優先度の高い目標の実現につながるもの(p.201-l.5)
さて、あなたの日々の活動を上記に当てはめた場合、どの領域に時間をかけているでしょうか?
先週の活動を振り返って、第I領域から第IV領域にそれぞれ当てはめてみましょう。
今々こうだと思うところに置いてもらってかまいません。
上手く分類できましたか?
この4つの領域の中で、私たちが注力しなければならないのは第I領域と第II領域、つまり自分にとって重要な価値観や役割に対する活動です。
この領域に時間を割くためには第III領域と第IV領域を減らすしかありません。
第IV領域は重要でも緊急でもない、いわゆる「無駄」の領域です。
暇つぶしや目的もなくTVや動画、ネットを見たり、長時間ダラダラとおしゃべりやゲームをするなど、本来やらなくても良いことを指します。
もちろん、気分転換として時間を決めて行えば、それは第II領域と言ってかまいません。
しかし、そうでないなら、この領域にかける時間は限りなく0にしたいところですね。
第I領域から第III領域については、少し細かく見ていくことにしましょう。
第I領域と第III領域を分けるのは”自分にとって今”重要かどうか
第I領域はトラブル対応や、予定外でもやらなければ自分の重要な価値観や役割を疎かにしてしまうようなことです。
第I領域のモノが発生してしまった場合は、第II領域を差し置いてでも取り組まなければなりません。
第I領域と第II領域の話は、また後ほど取り扱います。
一方で、第III領域は言ってしまえば他人の優先度の中にあるものです。
第III領域は第IV領域と同じで、極力避けるべき領域にあたります。
第I領域と第III領域は混同されることが多く、この領域を表して「錯覚」と言われます。
これは自分にとって重要だと勘違いしてしまうからです。
物事が第III領域に入るかどうかのポイントは自分の価値観や役割にとって重要なことなのかどうかです。
例えば、他人から何かを依頼されたとして、それが自分の価値観や役割に照らし合わせて「自分が今やるべきこと」であれば第I領域に入ります。
しかし、ついでに依頼されたようなことや誰がやってもいいこと、また単に他人の優先順位で急かされていることであれば、それは第III領域に入るでしょう。
また、特に発言もしない参加するだけの会議も、情報を仕入れるなどの主体的意図がなければ第III領域にあてはまります。
それが定例会議だった場合は第IV領域でしょうか。。。
ちなみに、他人から依頼された自分にとって重要な依頼も、前もって計画的に取り組めるなら、それは第II領域の活動に入ります。
つまり、
- 第I領域:緊急で、かつ自分にとって重要
- 第II領域:緊急でないけれど、自分にとって重要
- 第III領域:緊急かどうかに関わらず自分にとって重要ではない
ということになります。
効果的な人々は、第III領域と第IV領域を避けようとする。この二つの領域に入る用件は、緊急であろうがなかろうが、重要ではないからだ。
『7つの習慣』p.204-l.13
ここで、先ほど分類した活動を見直してみましょう。
先ほど分類した第I領域と第III領域の活動を再度分類しなおしてみましょう。
第II領域の活動が第I領域を減らす鍵
では、第I領域と第II領域の違いはなんでしょうか。
第I領域は自分にとって重要なことなので、活動自体に意味はあります。
ただ、「緊急」で行わなければいけない状況では、時間のコントロールが難しくなってしまいます。
自分の信念に基づいて使命を達するために、その時々で出てくる課題を片付ける日々も一見悪くはなさそうです。
しかし、計画的でない作業の積み重ねでは、長時間労働になったり、本来時間をかけて育むべきものが疎かになってしまいます。
一方で第II領域は、重要だけれど緊急ではない活動にあたります。
ここには体調管理や人間関係を育んだり、将来の計画を立てて実行する活動などが入ります。
自分がやるべきことであったとしても、計画外で第II領域の活動を押しのけてやらなければならないものは第I領域になります。
第II領域の活動は緊急性がないだけに、意識して実行しないと第I領域と第III領域にどんどん浸食されてしまいます。
しかし、将来起こりうるであろうことを見据えて、事前に計画を立てて取り組んでいけば、自然と突発的な第I領域の活動は減っていくものです。
第II領域にかける時間を捻出し、第I領域にかかる時間を徐々に減らしていきましょう。
第II領域にかける時間を捻出すると言っても、第I領域の活動は自然に減ってはくれませんし、無視もできません。
先ほども述べた通り、まずは第III領域と第IV領域から時間を捻出する必要があります。
第III領域はそもそも重要なことではないので思い切って断りましょう。
一番重要だ、と言いきれる仕事しか受けないことにした。周囲の人たちも最初は残念そうな顔をしたが、すぐに彼のやり方を受け入れてくれた。それどころか、以前にもまして彼に信頼を寄せてくれるようになった。
『エッセンシャル思考』
ただし、自分の役割かどうかを正確に判断しないと人間関係を悪くしますので気を付けてください。
また、誰かにデリゲーション(委任)するのも良い方法です。
作業を誰かにデリゲーションするための引継ぎや育成は、立派な第II領域の活動です。
(丸投げはダメですよ)
第IV領域を減らすことについては言わずもがなですね。
では、ここまでの内容をもとに、先ほど分類した活動を見直してみましょう。
先ほど分類した第I領域と第II領域の活動を見直してみましょう。
それ以外についても必要があれば再分類してみましょう。
些細なことからで良い、第II領域に意識を向けよう!
繰り返しますが、第II領域の活動は緊急でないだけに疎かにされがちです。
しかし、第II領域に意識をしっかりと向けることが、自分の時間をコントロールする上では大切になってきます。
日々のどんな小さなことでも良いと思います。
10分でも読書したとか、ちょっとした運動や筋トレをしてみたとかから、来週の計画を立ててみたとかなんでも良いので、第II領域の活動を行ってみましょう。
自分の第II領域に意識を向け、それを実行したという達成感や喜びを感じられるかもしれません。
第II領域は、あなたが主体的に行うべき活動の領域である。
『7つの習慣』p.426-l.4
日々、第II領域に意識を向けることが大事です。
ということで、各領域に対する時間の使い方としては下記のような感じです。
それぞれ、ワークで分類したタスクについて上記の方針で取り組めるか挑戦してみましょう。
次回は『7つの習慣』第7の習慣「刃を研ぐ」について見ていきます。
この習慣も第II領域の活動に入ります。
肉体、知性、社会・情緒、精神の4つをバランスよく磨くことで、自分自身の価値を維持し高めていくことができます。
また、1週間の目標設定についても同時に扱っていきます。
お楽しみに。
- 第II領域に生きる手帳術
- 【QII手帳術】第1回:役割について考える
- 【QII手帳術】第2回:第II領域に時間を使う考え方
- 【QII手帳術】第3回:刃を研ぐと今週のゴール設定
- 【QII手帳術】第4回:手帳について
- 【QII手帳術】第5回:週次のスケジューリング
- 【QII手帳術】第6回:日々のスケジューリング
※【QII手帳術】: 第II領域は原書で Quadrant II と書かれており、その略として QII としています